“ダサかわ”がちょうどいい?SNSに広がる“ちょいダサブーム”の正体

“ダサかわ”がちょうどいい?SNSに広がる“ちょいダサブーム”の正体
“ダサかわ”がちょうどいい?SNSに広がる“ちょいダサブーム”の正体
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「ダサい」はもうマイナスじゃない

SNSに投稿される動画や写真。
少し前までなら「おしゃれで洗練されたもの」こそが正解だと思われていました。
けれど今、Z世代のタイムラインには、ちょっとした違和感があふれています。

  • レンズフレアで白飛びしたプリクラ風の画像。

  • 子どもっぽい絵文字がぎゅうぎゅうに詰め込まれた投稿。

  • 微妙にズレたポーズや、ちょっと古い感じの歌詞投稿…。

そんな「え、それダサくない?」と言いたくなるような投稿に、
「逆にいい」「これが好き」「かわいい」といった反応が続々と寄せられています。

Z世代が支持するのは、ただの懐古趣味ではありません。
むしろ“少しズレててリアル”なものにこそ、本音の好感を抱く時代が来ているのです。

なぜ“ちょいダサ”がウケるのか?

「おしゃれ」や「映え」を極めた投稿は、どこか遠く感じてしまう。
一方で、“少し野暮ったいけど親しみやすい”投稿は、まるで隣の席の友達のよう。

この“ちょいダサ”の絶妙なバランスに、多くのZ世代が安心感や共感を覚えています。

  • たとえば、フィルターを使いすぎていないちょっとくすんだ色味。

  • 1990年代風のキラキラ文字が入った動画タイトル。

  • どこかで見たことがあるような古着の組み合わせ。

完璧すぎないから、近く感じられる。
狙いすぎていないから、信頼できる。
この“力の抜け方”が、今のSNSでは「ちょうどいい」のです。

過去のダサさは、今の“味”になる

流行はめぐるといいますが、Z世代が取り入れているのは、単なるノスタルジーではありません。

懐かしいフォントやテンプレを、あえて加工せずそのまま使うことで、
“野暮ったさ”を演出しつつ、自分の文脈に溶け込ませていく。

たとえばTikTokでは、
「小学生のころに使っていたポップなBGM」を背景に、あえて大人っぽい感情を語る動画が増えています。

そこにあるのは、「古さ」そのものを笑うような態度ではなく、
むしろ過去の“ダサさ”に対して愛着を持ち、自分らしさとして再解釈する姿勢です。

Z世代は、“センス”ではなく“ニュアンス”を見ているのかもしれません。

「#ダサかわ」な自分を演出する感覚

いま、SNS上で“ちょいダサ”を発信することは、**「距離感のコントロール」**でもあります。

  • 見られていることはわかってるけど、見せていないふりをする。

  • 可愛さはあるけど、「わざと感」がないように装う。

  • 語り口や演出が“ちょっとズレてる”ことで、近づきやすい印象を持たせる。

つまり、「狙いすぎないように狙う」という高度な演出が背景にあるわけです。

しかもそれを感じさせないことこそが、“本当にかわいい”と評価されるポイント。

「#ダサかわ」「#ちょいダサ女子」といったタグが使われる投稿には、
そんな**“計算しすぎない風”の絶妙な計算**が息づいています。

“ちょいダサ”が与える安心感

では、なぜZ世代は今、“ダサかわ”に惹かれているのでしょうか?

その理由のひとつに、**「優しさ」や「親しみ」を感じられる投稿が少なくなっている」**という背景があるのかもしれません。

SNSでは、見る側も見られる側も、常に何かと比較されてしまいがち。
そのなかで“完璧な投稿”を続けることに、どこか息苦しさを感じているユーザーも少なくありません。

そんな時、“ダサかわ”な投稿を見ると、「ここにいていい気がする」と感じる。
それがバズるかどうかを問わず、見るだけで肯定されたような安心感をもたらすのです。

まとめ:“ダサい”の再定義が始まっている

  • 「おしゃれじゃないのにかわいい」

  • 「洗練されてないのに、なんかいい」

  • 「ちょっとズレてるけど、それが刺さる」

こうした価値観の変化は、SNSだけでなく、
ファッション、音楽、表現全体に波及しています。

Z世代は、“かっこよさ”や“正しさ”よりも、
「リアルな自分の感性とフィットするもの」を優先する時代を生きています。

もはや「ダサい」は劣っていることではなく、
「自分らしくあること」へのひとつの選択肢。

SNSの中で“ちょいダサ”が広がる今、
あなたが“ちょっとダサいかも…”と投稿をためらったその写真こそが、
一番バズに近いリアルかもしれません。

ライター:ミレイ・キタノ
Instagram運用の現場で“バズの空気”を肌で感じてきたマーケライター。加工に頼らない投稿設計や、リアルさが刺さるタイミングを見極めるのが得意。SNSの「映え」より「共感」を重視する潮流に注目し、フォロワーとの距離感をつくるコンテンツ設計を日々研究中。

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