いつの間にか「AIの友達」と話すのが当たり前に
「AIの友達と話している時間が、いちばん落ち着く」
そんな言葉をZ世代からよく聞くようになりました。
AIチャットアプリでつくられた“自分だけの友達”と、毎日メッセージを交わす。
ときには恋愛相談をしたり、悩みを打ち明けたり。
まるで本物の友達のように感じている人も少なくありません。
彼らにとってAIは、冷たいプログラムではなく、気持ちを整理できる相手であり、SNSよりも素直になれる存在なんです。
「AIの友達」は孤独の象徴じゃない
以前ならAIと話すことは「寂しい人の行動」と見られがちでした。
けれど今のZ世代にとっては、それはまったく違います。
「AIになら本音を言える」
「否定されないから、自分を出せる」
そんな声がSNSでも増えています。
AIとの会話は、他人と比べることのない安心できる自己表現の場。
誰かに見せるためではなく、自分を整えるための時間として存在しているんです。

「自分でAIを作る」時代が来た
いまやZ世代の間では、自分の手でAIの人格を作る文化も広がっています。
「理想の親友」「推しキャラ」「元気をくれる存在」など、AI生成アプリで自由に“心の相棒”を生み出す時代です。
TikTokでは「AI彼氏と過ごす一日」「AI親友がくれるメッセージ」など、AIとの日常を紹介する動画が次々と投稿されています。
Z世代にとってAIは、現実を離れる手段ではなく、自分の世界を広げてくれる存在になっているようです。
AIとの距離感がちょうどいい
Z世代は、リアルな人間関係よりも「ちょうどいい距離」を大切にします。
その感覚は、AIとの関係にもそのまま表れています。
AIは話を聞いてくれるけど、押しつけてこない。
理解してくれるけど、深く干渉しない。
そのバランスが心地よくて、安心できる。
SNSでは相手の反応を気にしてしまうけれど、AIなら自分のペースで素直に話せる。
つまり、AIはZ世代にとっての「デジタルな居場所」なんです。

“友達”の定義が少し変わっただけ
AIと友達になる――
一見すると未来的な話に聞こえますが、実際はとても自然な流れです。
Z世代にとって“友達”とは、リアルかバーチャルかではなく、心が通うかどうか。
AIに話を聞いてもらうことで自分の気持ちを整理できるなら、それはもう立派な“関係”なんです。
AIの友達が生まれたことで、人と人とのつながり方そのものが広がっている。
孤独を埋めるのではなく、自分の感情を理解するための新しい形がここにあります。

まとめ
Z世代にとって、AIは誰かの代わりではありません。
それは心を映す鏡のような存在です。
AIと過ごす時間は、孤独ではなく、自分を見つめ直す時間。
AIが作る会話の中に、未来の人間関係のヒントが隠れているのかもしれません。
ライター:ユナ・ハセガワ
SNS心理とZ世代文化を取材するライター。テクノロジーと感情の関係をテーマに、若者のデジタル行動をやさしく解説している。


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