スクロールが止まる一秒の不思議
動画を流していると、なぜか指が止まる瞬間ってありますよね。
最近のリールでは、そんな「止まる一秒」を上手につくる人が増えています。
派手なカットやテンポの速い編集よりも、最後に少しだけ残る“余白”が印象に残る。
Z世代の間では、「この一瞬の静けさが好き」と語る人も少なくありません。
情報が多い時代だからこそ、余白が響く

次々と動画が流れていく時代。
Z世代は“情報”よりも、“気持ち”を大切にしています。
だからこそ、最後の1秒に詰め込まない動画が心に残る。
少し間を置くことで、見た人の感情が追いつく時間が生まれるのです。
心理学の「ピーク・エンドの法則」と呼ばれる法則。
そこでは、人は“印象的な瞬間”と“終わり方”を最も記憶に残すといわれています。
つまり、リールの最後の余白が、その動画の記憶そのものになるのです。
「余白」をつくる小さな工夫
リールの終わりに余韻を残すために、すごいテクニックはいりません。
ちょっとした工夫で“止まる一秒”は作れます。
- 音をふっと下げる
最後の1秒で音量をすこし落とす。静けさが余韻になる。 - 動作の途中で切る
完全に止めるよりも、少し動きが残る瞬間で終えると自然。 - テロップを消すタイミングをずらす
メッセージが消えた後の静けさが、見ている人に余韻を残します。
たったそれだけで、“見終わる”から“もう一度見たくなる”動画へ変わるんです。
「もう一度見たくなる」心理をつかむ
不思議なことに、最後の余白が長すぎると人は飽きる。
でも、ほんの一瞬の静けさなら、「もう一回だけ」と思ってしまう。
それがリピート再生につながり、視聴時間を伸ばします。
アルゴリズム的にも、ループされる動画ほど評価されやすい。
つまり、最後の一秒が“再生の入り口”にもなっているのです。

ブランドリールでも「静」が効く
企業アカウントの動画でも、この「静の一秒」は効果的です。
最後のシーンで商品を映したまま静止させる。
または、ロゴを小さく浮かせて静かに終える。
その一秒が、ブランドの“余裕”に見える。
Z世代は、“押しつけない表現”に信頼を感じるのです。
情報を足す勇気より、引く勇気を
「もっと説明しなきゃ」と思うほど、詰め込みたくなる。
けれど、本当に印象に残るのは“見せすぎない動画”。
余白は、見る人を信じる表現。
伝えたいことを少し残すくらいが、ちょうどいい。
Z世代は、その“わざと残された一秒”に惹かれています。

まとめ
余白は「無」ではなく「余韻」。
ラストの一秒に“呼吸”を残すと、動画の印象も再生数も変わります。
静けさの中に心が動く。
Z世代は、そんな「止まる瞬間」に惹かれているのです。
ライター:ミレイ・キタノ
SNSの“見せ方”を研究するライター。動画編集や心理学の視点から、Z世代が反応する「間(ま)」と「感情の余白」をテーマに取材・分析している。


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