“キレイすぎない”がエモい時代
SNSで人気の投稿といえば、かつては「高画質」「映え」「整った構図」が王道でした。でも最近、ちょっと空気が変わってきている気がしませんか?
画面がノイジーだったり、グリッチっぽく乱れたり、あえて“バグったような加工”がされていたり…。そんな**「ノイズ映え」**投稿が、Z世代の間でじわじわ人気を集めています。
まるで壊れかけの映像みたいな世界観が「逆にエモい」「なんかクセになる」と話題になっていて、TikTokやInstagramでもその手のフィルターを使った動画や画像が増えてきました。
ノイズ映えって何?あえて“違和感”を演出する投稿たち
たとえば、以下のような投稿が「ノイズ映え」っぽい例としてよく見られます。
- VHS風のざらついた画質
- RGBがずれているような“色のにじみ”
- 映像が止まったり崩れたりするグリッチ加工
- ノイズ音やフィルムが切れたような効果音
一見すると失敗したような編集。でも、それが**「完璧すぎないからこそ、リアル」「情報過多なSNSの中で、いい意味で浮く」**として評価されています。
「映像がバグってる感じが、感情もバグってるみたいで共感できる」
「整いすぎた投稿はなんか疲れる。これくらい崩れてるほうが気楽」
…そんな声がTikTokのコメント欄にも多く見られました。
なぜ「バグっぽさ」がウケているのか?
このブームの背景には、Z世代ならではの**“完成された美しさより、ちょっとした違和感に心をつかまれる感性”**があるようです。
SNSは常に「見せる」文化と隣り合わせですが、その中で**「ちょっとズレてる」「変わってる」投稿がかえって強く印象に残る**というのがポイント。
さらに、最近のAIコンテンツや自動生成の整いすぎた画像・動画との対比もあり、「人間味のあるノイズ」がむしろ“ホッとする”“生っぽくて好き”と感じる人も多いのではないでしょうか。
ノイズ映え投稿の作り方は?
今、人気インフルエンサーの間でも「ノイズ映え」を取り入れた投稿が増えています。
- CapCutやVITAなどの無料動画編集アプリでグリッチ加工が簡単に可能
- TikTok内に“グリッチ”や“VHS”というフィルターも存在
- 自分で録音したノイズ音や逆再生BGMを使って演出する人も
つまり、「ノイズ映え」は専門的なスキルがなくても手軽にできる表現なんです。
情報が多すぎる時代に、“バグ”が癒しになる
「整いすぎ」「完璧すぎ」に疲れたSNSユーザーにとって、ノイズ映えはまるで“心のスキマを突いてくるような投稿”。
どこか不完全で、何かズレてて、でもそこが落ち着く。そんな「ノイズ感」のある投稿が、今後もっと増えていくのかもしれません。
“ノイズ映え”は、Z世代の美的感覚のアップデート。
一見バグに見えても、それは「心に引っかかる工夫」なのかもしれません。
ライター:ミレイ・キタノ
Z世代のSNSカルチャーを専門に分析するBuzzScopeライター。トレンドの裏にある“なんとなくハマる”理由を掘り下げるのが得意。休日はZineづくりとフィルムカメラ撮影に没頭中。