Z世代が「コークを吸う」?謎の“フリッジ・シガレット”とは
「ダイエットコークをタバコみたいに吸ってる動画、見た?」
今、TikTokでじわじわ拡散中の謎トレンド──その名も「フリッジ・シガレット」。
冷蔵庫を開けて、缶のダイエットコークを手に取り、まるで煙草のように一口。
「はぁ〜…うめぇ……」とキマった顔でキメる。これだけ。
にもかかわらず、「妙に中毒性がある」「なぜか共感してしまう」とZ世代の間で話題に。
動画自体は数秒の短尺ながら、コメント欄はまるで儀式のようなノリに包まれています。
「タバコじゃなくて炭酸」なのに、なぜ“吸う”?
“冷蔵庫を開けて缶を取り出し、あたかも煙草かのように飲む”──
これだけ聞くと意味不明にも思える「フリッジ・シガレット」。
海外メディア「Times of India」でも、“フリッジ・シガレット”について特集が組まれています。
でもこれ、Z世代特有の“感情の置きどころ”が詰まった表現なんです。
何かイラついた日や、気持ちを切り替えたい時、「とりあえずコーラ吸うか」っていう気分のタバコ代わり。
しかも“冷えてる”ってところがポイントで、「冷蔵庫から取り出す=気持ちの切り替えスイッチ」になってるという声も。
「本物のタバコは吸えないけど、これなら合法」
「むしろこっちの方が中毒性ある」
というコメントまで飛び出す始末。
冷蔵庫の前にしゃがみこみ、無言で缶を開けて飲み干す姿は、まさに現代版・青春の溜め息のよう。
コメント欄は“同士”の集会所?共感がバズを生む空気感

TikTok上では「#fridgecigarette」「#冷蔵庫シガレット」などのタグが乱立中。
実際の動画では、ただ無言で炭酸を飲むだけなのに、「わかりすぎて泣ける」「これが俺のストレス解消法」などの共感コメントが殺到。
この現象、“行為そのものよりも、感情の象徴”としてバズってるのがポイントです。
つまり、動画の中の人が誰であっても、「ああ、この気持ちわかるわ…」と、見る人の“自分ごと”に変換されていく。
SNS時代のバズは、「感情共有」が最大のエンジン。
ネタかマジかわからない境界線ギリギリを攻める「フリッジ・シガレット」は、まさにZ世代が好む“ちょっと捻れた自己表現”の形なんです。
「バカバカしいけど最高」──“演出系フェイク習慣”の波

実はこの現象、単なる一発ネタではなく、最近のZ世代動画文化の大きな潮流の一部でもあります。
たとえば、「架空の朝活ルーティン」や「謎ルールのある家族ごっこ」など、“リアルではないけどリアルっぽく演じる”フェイク習慣が人気になっているのをご存知でしょうか?
「フリッジ・シガレット」もその延長線。
現実ではしないけど、演出としての“中毒行動”をあえて動画化することで、
・ちょっと笑える
・でもなんか気持ちはわかる
という絶妙な“ノリの共犯性”が成立してしまうんです。
バカバカしいのに刺さる──Z世代が今求めているのは、まさにその微妙な境界感覚かもしれません。
冷蔵庫の前に、Z世代の心がある
「フリッジ・シガレット」は、ただのダイエットコーク動画ではありません。
そこには、Z世代の“感情の逃がし方”や、“演出としての憂鬱”がしっかり映っています。
もしかしたら、冷蔵庫を開けた先にあるのは、冷たい炭酸じゃなくて、ちょっとだけ救われる自分なのかも。

ライター:ミレイ・キタノ
Z世代とSNS文化の“あいまいな本音”を観察するライター。「バカバカしさ」の中に潜む感情や社会性を見抜く視点で、バズの構造や若者文化をやわらかく分析します。
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