バズらないのに好かれる投稿たち──“共感の蓄積型”SNSって何?

バズらないのに好かれる投稿たち──“共感の蓄積型”SNSって何?
バズらないのに好かれる投稿たち──“共感の蓄積型”SNSって何?
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一発バズじゃなくても、なぜか“好き”になる投稿たち

SNSでは、「いいね」や再生数が爆発することはないのに、なぜか何度も見たくなる投稿があります。通知が来るたびに、つい見に行ってしまうアカウントもあるのではないでしょうか。

最近のSNSには、「目立たないけれど、好かれる」投稿が増えています。それは一時的な共感によって拡散される“バズ型”とは異なり、見た人の心にじわじわと残り、保存やフォローといったアクションにつながりやすい“共感の蓄積型”のスタイルです。

今回は、その“蓄積型共感”がなぜ注目されているのか、そしてZ世代の間でどのように受け入れられているのかを探っていきます。

共感=バズ、の時代は終わった?

以前は「共感されればバズる」というのがSNSの鉄則でした。「わかる!」「これ私じゃん!」という声が多く集まれば、それが“いいね”やシェアにつながり、広く拡散されていくという構図です。

しかし、最近はその“共感”のあり方に変化が生まれています。

たとえば、あるクリエイターが日記のように投稿を続けている場合、その一つひとつは特にバズっていなくても、見続けているうちに「なんだか応援したくなる」と感じることがあります。その背景には、投稿の“文脈”や“積み重ね”が存在しており、見る側の感情を少しずつ動かしているのです。

これは「即時の共感」というよりも、「連続する共感」あるいは「関係性の蓄積」に近いといえるでしょう。

ストーリーを感じさせる投稿が「推される」

Z世代は、「ストーリーのあるコンテンツ」に強く惹かれる傾向があります。

たとえば、毎日のルーティンを淡々と記録した投稿や、引っ越し前後の様子を日々綴った記録、あるいはペットや趣味の成長記録など。内容自体はシンプルでも、その人の“日常”や“変化”を感じられる投稿は、「この人の今後を見届けたい」と思わせる魅力があります。

そうした投稿に共通するのは、「世界観」と「継続性」です。

Z世代は、情報そのものよりも「その人らしさ」や「一貫性」に信頼を感じます。だからこそ、「この人の投稿、いつも心地よいな」と思えるようなアカウントは、フォローや保存という行動につながりやすくなるのです。

なぜ“共感の蓄積型”が増えてきたのか?

この現象の背景には、SNSアルゴリズムの変化も影響しています。

TikTokInstagramでは、再生数よりも「保存数」や「フォロー」「視聴維持率」などが重視されるようになりました。その結果、バズるよりも“長く見られる”投稿の方が、アルゴリズムに好まれるようになっています。

また、Z世代は「ブレない人」に安心感を覚える傾向があります。「いつ見ても落ち着く」「このトーンが好き」と感じられる投稿者には、自然と親近感が湧いていくのです。

「推し投稿」の正体は“安心感”と“信頼感”

“共感の蓄積型”が強い理由のひとつは、フォロワーとの関係を長期的に育てることができる点にあります。

毎回インパクトを狙う必要はありません。「変わらない」「ぶれない」「その人らしい」という投稿は、日常の中での安心感や信頼感を生み出します。

また、このような投稿は「バズってほしい!」というよりも、「あまり知られてほしくないけど、私はずっと見ていたい」といった、静かな“推し活”につながることもあります。

結論:SNSは「目立つ」から「滲み出す」へ

SNSで人に好かれるために、必ずしもバズる必要はありません。

Z世代の間では、共感を“蓄積”していくような投稿が評価されています。即効性のあるコンテンツよりも、長く見ていたくなるような人間らしさやストーリー性が、信頼や好感につながっているのです。

目立たないけれど、なぜか気になる。
派手ではないけれど、ずっと好きでいられる。
そんな投稿が、これからのSNSを静かにリードしていくのかもしれません。

ライター:ミレイ・キタノ
SNSと感情設計をテーマに執筆するZ世代ライター。特にInstagramやTikTokにおける“共感”や“世界観”の分析を得意とし、ユーザー心理に寄り添った記事に定評がある。BuzzScopeでは「見られる」より「残る」投稿に注目し、日常とSNSの接点を丁寧に掘り下げる。

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